東京地方裁判所 平成4年(ヲ)2511号 決定 1992年10月07日
申立人 株式会社 乙山銀行
代表者代表取締役 甲野太郎
申立人代理人弁護士 須藤英章
同 岸和正
相手方 丁原建設株式会社
代表者代表取締役 丙川春夫
<ほか一名>
別紙物件目録記載の土地に対する当裁判所平成四年(ケ)第二二一五号土地競売事件につき、売却のための保全処分の申立てがあったので、相手方丁原建設株式会社のために金一〇万円、相手方乙田ホームのために五〇万円の担保を立てさせたうえ、次のとおり決定する。
主文
一 買受人が代金を納付するまでの間、別紙物件目録記載の土地に対する相手方らの占有を解いて、東京地方裁判所執行官に保管を命じる。
二 執行官は、その保管にかかることを公示するため、適当な方法をとらねばならない。
理由
一 債権者の申立て
本件は、売却のための保全処分として、主文記載の命令を求めるものである。
二 事実関係
記録によると、次の事実を認めることができる。
(一) 相手方らに対しては、平成四年九月一六日、次の主文の売却のための保全処分が発令された。
相手方らは、別紙物件目録記載の土地(以下本件土地という。)内に搬入した土砂を撤去し、本件土地に建築した建物を収去し、決定送達後一四日以内に本件土地から退去すること、また、本件土地には、土砂その他一切の物を搬入し、建物その他一切の工作物を建築設置し、さらに占有を他人に移転し、占有名義を変更してはならないこと、そして、東京地裁執行官は、土砂等の搬入禁止、建築禁止、占有移転禁止の命令が出ていることを公示すること
(二) 上記の保全処分で命令された公示は、本件土地において平成四年九月二一日執行された。
(三) そして、上記の保全処分は、相手方丁原建設株式会社に対しては平成四年九月二四日に、相手方乙田ホームに対しては平成四年九月三〇日に送達された。
(四) ところが、相手方乙田ホームは、上記の命令を無視して、高額な廃棄物処理料の支払いを受けて処理を依頼された残土などを、法規に反して本件土地に搬入し続けており、平成四年一〇月二日現在、搬入された残土などの量は、これを撤去するために見積金額で金六八三一万円を要するような大量に及んでいる。
(五) また、相手方乙田ホームは、上記の命令で収去を命じられている建物について、平成四年九月二四日保存登記を収得して、収去命令に従わない態度を示している。
三 当裁判所の判断
上記認定のように相手方乙田ホームは、既になされている保全処分に従わず、残土などの搬入などを続けており、相手方丁原建設株式会社は、これを阻止するべき義務があるのに、義務を履行せず放置している状況にある。そうすると、このまま本件土地の占有を相手方らに続けさせると、本件土地の担保価値は、さらに著しく減少することが明らかである。
したがって、相手方らが本件土地を占有している現在の状況をこれ以上続けさせることはできず、本件土地を緊急に執行官の占有下に移す必要性があり、相手方らの退去期限の経過を待つことができない。
したがって、申立人の申立ては、すべて理由があるので、担保を立てさせたうえ、主文のとおり決定する。
(裁判官 淺生重機)
<以下省略>